にじいろはきみへの想い 〜前編〜

(当記事で紹介している内容は2024年5月現在の情報です。当記事の内容を参考にされる場合は最新の入出国情報を確認し、自己責任において行動をお願いします。)
(2024年12月23日追記:2024年11月30日より中国では観光等での入国についてビザ免除となりました。当面はこのブログに書かれている臨時入境許可を取得する必要はありません。)

 かつて福岡から直江津を経由して室蘭を結んでいた「九越フェリー」という会社があった。1996年4月に「れいんぼうべる」という船で運航開始。97年に姉妹船の「れいんぼうらぶ」を投入したが、旅客数の低迷により旅客設備を簡素化した「ニューれいんぼうべる・らぶ」に短期間で置き換えられてしまった船である。

 「れいんぼうべる」はその後、現在の宮崎カーフェリー(当時はマリンエキスプレス)に活躍の場を移し「フェリーひむか」として活躍。その後はギリシャに渡って活躍している。
 2006年上映の映画「LIMIT OF LOVE 海猿-UMIZARU-」に登場しているくろーばー号はフェリーひむか時代の「べる」であった。

 対する「れいんぼうらぶ」はその後しばらく国内にとどまるも2003年に韓国のWeidong Ferry(威東航運有限公司)に渡り、韓国・仁川港と中国・青島港を結ぶ「New Golden Bridge V(以下・NGB5)」として現在活躍中である。

 そんな「れいんぼうらぶ」に乗りたい。ただその気持ちだけで旅行したのが今回の旅行である。

 前編では中国入国からホテルまでの移動を紹介してます。
 もう早く船乗ってるとこ見たい!って方は「にじいろはきみへの想い〜後編〜」へどうぞ。

れいんぼうに乗りたい…

 この旅行の約1年前、2023年5月、私ははじめての韓国にいた。理由はNGB5を見たい。ただそれだけの理由で言葉もよくわからない韓国へ旅行していた。
 東仁川駅から仁川港国際ターミナルに向かうタクシーの中、過去の旅行記でしか見たことの無かったレインボーカラーの船を見た時の高揚感。一度見てみたいと思っていた船をこの目で見られた感動はいまでも鮮明に覚えているほど衝撃的だった。

 2023年5月はまだ世界中で新型コロナウイルスが蔓延していた頃であった。日本ではこの年の3月からマスク着用が個人の判断に委ねられたとはいえ、世界はまだマスク着用が外出時の義務のような雰囲気の頃であった。
 仁川〜青島航路についてもコロナの影響により旅客営業は休止、貨物のみの運航になっていたためせっかくの新しい国際ターミナルにも係員以外の人がいないのが印象的だった。
 韓国では先の船舶事故などの影響により船齢が25年を超える船の運航が制限されるという話や、コロナ禍で旅客営業の見通しが立っていないこともあり、1997年製のこの船に乗船することはもう叶わないだろうと考えていた。

 追い打ちを掛けるように日中間での観光ビザ免除もコロナで無くなり、中国に渡航するにはビザ申請が必要で近くて遠い国になってしまったことも乗船について諦める要因となっていた…。乗りたいという気持ちはあっても乗れないだろう。見られただけでもよかった。もうすでに乗ろうという気持ちも薄れてきていた。

 翌年、2024年になり、世界はコロナ以前の生活を取り戻していた。貨物のみで運航していた国際フェリーも旅客営業を再開しているところも多くなっていた。
 そんな中、SNSの船仲間から「NGB5が旅客営業を開始したらしい」という情報が入ってきた。時期を同じくしてインターネット上では仁川側から中国に渡航した日本人の情報もあり乗船したい思いが蘇ってきた。
 「これは近いうちに行くしかない!」
 憧れから乗るんだという確信に変わった瞬間だった。2024年GW後に休みがもらえたためこの休みを利用して行く計画を立て始めたのが4月中旬であった。

乗船のために情報収集

 日本国内の旅客船であればインターネットで調べればほぼわかってしまう便利な時代。これが国際フェリーになると状況が一変する。20年前から変わってないようなデザインのサイト、コロナ禍の運航休止からアップデートしてない情報、支払い方法のよくわからない予約ページ…。航空会社のサイトに比べたら雲泥の差がある状況だ。
 令和元年の国土交通省観光庁発行の「観光白書」の資料によると、コロナ前の2018年に日本を出国した日本人が利用した交通手段の99%が航空機利用であったとのデータがあり、残りの1%が船舶利用(クルーズ船含)とのこと。おそらく諸外国についても同じように船による国を越える移動は、航空機利用に制限がある人やクルーズ船利用、そして私のような物好きしか利用しないのであれば前に書いたサイトが粗末な理由もわかる気がする。

 とはいえ予約は必要なのだ。
 まず、運航会社の「Weidong Ferry」のサイトを開く。日本からのアクセスだと貨物ページが激重で表示されるのだが、韓国のVPNを経由してアクセスすると一見通常のサイトが開く。運航日・ダイヤなど船に関する情報についてはこのページから確認することも可能であるが、このサイトで予約する時点でかなりの日本人がつまずくはずだ。

 予約ページの一番最後の決済画面、ここに来て韓国サイトあるあるの「韓国で発行したカード以外での決済不可」というトラップがあり難易度がかなり高くなっている。

 なお英語版サイトには親切にも「Facebookのチャットから予約せよ」と予約方法が記載されているが、こちらのチャットに英語・韓国語でメッセージを送るも返信は全く来なかった。
 なお、予約ページにある電話番号は韓国語が出来れば予約は可能らしいので誰か試してもらいたい。

 結局のところ予約したのはTrip.comの中国版、Ctrip.com(携程旅行)というサイトから予約・決済まで行うことにした。決済は国際ブランドのカードの他、Alipay、WechatPayも利用可能なので困ることはない。
 なお、このサイトは中国国籍でないと利用出来ないという話もあるが国籍欄を空白にしても購入や会員登録することは可能だった。

中国までの交通手段をどうするか

 2024年5月現在で中国は観光目的での渡航に対してビザの免除を行っていない。つまり大使館等でビザを取得しなければ原則として観光目的での入国は出来ない。

 しかし、中国を経由しての第三国への出国に対して72時間または144時間の制限付きでのビザ免除を行っている空港などがいくつかあり、青島国際空港も山東省内での144時間のトランジット目的でのビザ免除を行っている。この場合の出国対象は青島国際空港ならびに青島国際港が入っているところまでは中国サイトなどで確認済みであった。

 日本から青島へ向かうルートはいくつかあり、
 ・ANA 羽田〜青島(直行便)
 ・中国国際・中国東方航空 成田〜北京など〜青島(乗り継ぎ)
 ほかにも関西・名古屋などを含めるとかなりの候補が挙げられる。今回はかなり突発的に決まったこともあり予算的にも厳しく、マイル特典航空券でのANA便を利用することにした。中国のエアラインも興味があり迷ったのだがマイル特典で直行便にちょうどいい時間に乗れるというのもあり今回はANAに決めてしまった。なお、行きのみ空席が無くビジネスクラスになってしまったが、羽田の出国レーンは非常に混むのでビジネスクラスにして優先レーンを利用出来る点では正解であった。

 あとは空港での説明用に航空券予約情報やホテルの予約メール。そして乗り継ぎとなる船の予約情報のスクリーンショットなどの資料等を紙に印刷して準備した。
 海外のトランジット入国などで紙の資料で提出できず入国に非常に苦労したという話などを聞いていたのもあり、特に今回の中国のトランジットでのビザ免除も正規の方法とはいえ、トランジットの証明が出来なければ入国できないので念には念を入れた感じである。

 すべての準備を終えたのが5月3日。出発4日前であった。もうちょっとゆっくり決めたかったね。

旅のはじまりは羽田空港から

 GW明けの月曜日。5月7日。最寄り駅から初電で向かい、6時に羽田空港3タミに到着。6時25分からのチェックインカウンターの営業開始前に着いてしまったので準備をしながらチェックインカウンターへ。

オープン前のチェックインカウンター

 本来であればここでチェックイン出来たはずなのだが、使用機材変更のためチェックインが7時半に変更とのこと。3タミであれば4Fの日本っぽいところで時間を潰すことも出来るので4Fに移動し7時半を待ち再度チェックインカウンターへ。
 パスポートを見せ青島までと申告。ビザは取っていないがトランジット目的での入国。帰りは韓国へ抜ける旨の資料を提示して係員の反応を見る。すんなり行くことはないだろうと思っていたがやはり確認させて欲しいとの返答。大丈夫このくらいは想定の範囲内である。
 しばらくして「確認が取れました」とのこと。
「向こうの入国審査で申告が必要なので青島のイミグレの係員に説明してください。」
 と念を押され無事チケットが発券されました。

 前述の通り、エコノミーに空席が無くビジネスクラスでの搭乗なので、混んでる一般レーンを横目に優先保安検査を抜けいつも通りの出国。羽田空港の3タミはステータスでは無くて実際に乗るクラスで優先レーンの使用可否が決まるシステムなので一般レーンが混みがちなのは改善して欲しいところでもある。

 出国後はラウンジで朝食などを食べる。いつものサーモンいくら丼の気分では無かったのでハヤシライスをチョイス。ここのハヤシライスはちょっと少なめなのでハンバーガーもセットで注文。
 チェックインの遅延や飛行機までバスでの案内だったのであまりゆっくりも出来ず、朝食を食べて搭乗口に向かうことに。

 バスラウンジに着くとほぼ中国人しかいない状況。この騒々しさ…よく富士山に向かう電車の中で経験した感じ…。
 おそらくビザの関係もあって日本人の方が少ないのかも知れない…そのくらい中国の人が多いフライト。CAさん大変なんだろうなと思っている中、ドアクローズとなった。

 青島までの飛行時間は3時間45分。距離だと東京〜石垣より少し短い程度の距離である。そう考えるとあまり遠いところに思えなくなるのが不思議なところだが、短距離でも国際線。きちんとビジネスクラスの機内食が出るのがさすがと感じた。(個人的には距離短いのでプレミアムクラスの軽食でもよかったんですが…)

 機内食を食べ終えてのんびりしていると着陸態勢に入るアナウンス。窓の外を見ると雲の切れ間から陸地が見えていた。これが中国か…と思いながら初めて入る中国の景色を見ていた。高い建物が乱立する感じ…テレビとかで見ていた中国の景色そのものであった。
 定刻通り着陸し、入国審査に進む予定であったが…入国時の検疫があるとのことでサーモカメラをつけた係員が機内を巡回するため着席して待機して欲しいとのアナウンス。国が違うと事情が異なるのも海外旅行の魅力でもあり、その国を知ることが出来る。

 巡回中、CAさんから名前を呼ばれる。羽田での説明が引き継がれていたようだが、旅程に不明点があるので降機後に現地係員が待機しているので一緒に入国審査まで向かって欲しいとのこと。
 こちらとしては一番大きな関門と感じていた入国審査で現地の係員が案内してくれるのは非常に頼りがいがあってありがたく感じた。

ドキドキの入国審査

 飛行機をおり、PBB上に名前を書いたタブレットを持ってる地上係員…。いつも羽田空港で内際乗継で遅れたときに見る光景だ…と思いながら名を名乗り現地スタッフの指示に従う。現地スタッフはさわやかな中国人という感じの男性だった。ANAの現地係員だけあって日本語も通じるので安心感が強い。こんなにイージーモードにしてもらっていいの?と思いながら入国審査へと向かう。

 青島国際空港は新しく出来た空港ということで建物自体はキレイ。ただこの景色とても既視感…。そう羽田空港の第2ターミナルの68番搭乗口あたりに到着して到着ロビーに向かう景色にそっくり。心の中で「羽田空港じゃんここw…、羽田空港じゃん…」と思いながら入国審査へ。

 ここで現地の係員がこの後の行程を確認したいとのことなので予約情報の紙を渡して説明。彼から乗り継ぎ用の上下で分割されるタイプの入国カードを渡され、「入管の係員に説明に行ってくるので書いててください」とのこと。
 5分ほどで彼が戻ってきて、「この紙(予約情報)とパスポートと入国カードを持って一番右端の窓口に行ってください」と言い残し立ち去っていった。彼がいなかったら一般レーンに通常の入国カードを持って並んでいたかもと考えるとありがたかった。

 彼の説明もあり入国はスムーズ。パスポートにはんこも押されたので終了かと思ったら一般レーンに行くように案内された。どうも乗り継ぎの手続きのみを端のカウンターで行い、最終的な入国審査は一般のレーンで行っているようだ。
 入国管理の係員から中国語で話しかけられる…。何だろうと思っていたら英語で「〜Seaman?」って聞いているようで、「船員なのか?」と聞いている様子。「いやいや違うよ。客として乗るんだよ。」と答えたが、中国語のなまりのせいで中国語なのだと勝手に認識していた。

 最初に押してもらったのは大きい青いスタンプ。
 その後、一般レーンに並んで入国審査が行われる。
 指紋スキャナに表示される明らかに中国とわかるキャラデザ。いくつかの国で指紋スキャナにパスポートと連動しているのかその国の言葉で表示されるが、明らかに怪しい雰囲気の細い明朝体…。間接的なところでここは中国なんだなと改めて感じさせられた。

 その後は、何も質問されず入国の赤いスタンプを押され無事に入国。はじめての中国に無事に入国することが出来た。

 当初、「144時間の山東省内だけのトランジットビザ免除になるのかな?」と思っていたのだが、有効期間が24時間の免除スタンプ。しかも省内だけではなく、中国全土で使用できるエリアの面では最強のものが発行されていた。青島市内から出る予定すらないのに…。
 ただこれは、翌日の8日に出発するためなのか?それとも144時間免除が出来るということが伝わっていないのか…。どちらにしても滞在は翌日までなので入国が出来れば問題はない。

 ちなみに24時間、144時間の時間の起算は「入国した翌日の午前0時から」なのでこの場合、「5月7日入国なので5月8日の23時59分まで有効」ということ。当日はサービスタイムなので得した気分ですね(笑)

空港からホテルへ

 空港からホテル最寄り駅の浮山所駅までは地下鉄で移動。案内も日本語併記なのでわかりやすい。中国なので元々漢字からある程度の連想が出来るのであれば嬉しいなと思うレベルだが、日本とは漢字の意味が違うことも多いので油断は出来ない。

 料金表によると「浮山所駅」までは7元。この日のレートがおよそ1元=22円だったので154円ほど。ただうっかりしていてここに来るまでにATMで現金を引き出しておらず、まわりにもATMが見当たらない…。そもそも空港内でATMをあまり見た記憶が無い。他国の空港だと嫌というほどATMを見てたので、これは面倒だなと思いつつ券売機を触っていたら「Alipay」の表記を発見。当時中国に行くわけでもなくなんとなくインストールしていたアリペイがこんなところで役に立つとは思わなかった。(なおセットで微信支付もインストールはしている)

 着駅を選択し決済方法で「アリペイ」を選択。画面内に表示されたQRコードをスキャンすることで決済は完了。ワンウエイのICカードが発行されタッチして乗車。乗るときはSuicaと変わらないけど比べるとやはり反応速度はイマイチ遅いと感じるものがある。

 噂には聞いていた地下鉄乗車時の荷物検査を受ける。荷物を空港にあるようなX線検査機に通し、金属感知器のゲートをくぐる。
 しかし、日本の国内線よりも見ているかわからない程度のセキュリティで、コインなどでゲートが鳴っても特に止められることも無く通過。恐らく他のセキュリティがあるからそこまで重視していないのだろうか。

青島地下鉄の片道乗車券用ICカード

 地下鉄は日本の一般的な車両よりも狭く、都営大江戸線のようなイメージ。そのため大きなキャリーバッグで出入り口付近を塞がれると中に入れなくなってしまう…。しかし彼らはなぜあんな大きいキャリーバッグを一人で二つも持ち歩いているのだろうか。何を入れているのかいつも気になってしまう。

 地下鉄8号線は途中地下から地上区間を走行る区間があり、地下鉄にしては速い100km/hで橋梁上を疾走する。向かい側には高速鉄道の橋梁がありちょうど高速鉄道が通過していった。おそらく日本のE2系のような車両が使われている路線だと思うが、今回は恐らくCRH3C系と思われる列車が走行していった。河川区間を抜けると再び地下区間となり景色は見ることは出来なかった。

 2回の乗り換えを経て、浮山所駅に到着し、徒歩でホテルへ向かった。

 ホテル宿泊から乗船までは「にじいろはきみへの想い 〜後編〜」に続きます。

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